コピーとは意味づくり

突然ですが、広告の役割って一体何なのでしょうか。
売上アップ?知名度アップ?集客?ブランディング?
いろいろあると思います。そして実は、かなり奥が深いテーマです。
ボクは、本質的な広告の役割(=コピーの役割)は「意味づくり」なんじゃないかと思っています。

たとえば、こんな課題があったとします。

<課題>商店街に人を呼び込むためのコピー商店街

その広告を見た人が、商店街に行きたくなる。そんなコピーを書くということはつまり、商店街に行く意味や理由、価値を考えるということ。そしてまた、商店街の活性化策を考えることなのかもしれません。コピーライティングとはきっと、経済を動かす魔法を編み出すことなのです(ちょっとカッコつけすぎですかね)。 というわけで、上記の課題「商店街に人を呼び込むためのコピー」について考えてみましょう。

<課題>商店街に人を呼び込むためのコピー

・とある商店街がお客さんを増やすために地元の新聞に広告を出すことにしました。
・ビジュアルには、商店街の写真を新聞1ページ前面に使用します。
・あなたの仕事は、キャッチフレーズをつけることです。広告主(つまり商店街)は架空の商店街でも、実在の商店街でも結構です。自由に設定してください。

まず、商店街のライバルとなるのは、大型のショッピングモールが代表格です。どこの地方でも彼らのバトルは繰り広げられていると思います。ショッピングモールになくて、商店街にあるもの。それを突き詰めていくと、商店街に行く意味や理由、価値は見出せるかもしれません。それではコピー事例を紹介しながら、解説を加えていきます。



あのモールにはない、〇〇を見つけに行こう。

呼びかけはできているものの、〇〇について語られていません。ということは、行く理由が見出せないということです。


顔の見えるお付き合い。商店街という街があなたの帰り、待っています。

イメージは正しい。ただ、新しい発見がなく、心の変化が生まれません。


「おかえり」で迎えてくれる商店街。
「おかえりなさい」が挨拶の店がある。

確かにそうなのですが、従来のイメージから変わっていません。


あの頃のあの味がここにはある。
知らない街だけど、懐かしい匂いがした。

懐かしいイメージも間違っていませんが、新しくそこへ行く理由になっていません。


帰り道、コロッケ買って食べたら、うれしくなった。

コロッケは具体的でいいかもしれません。シズル感があります。もう一息。


過ぎたこともやり直せる。

意味がわからず、広告として成り立っていません。


親切以上、おせっかい未満。

商店街らしいですが、おしい。もう少し具体性があれば……。


家族よりも頼れるおばちゃん、います。

もう少しおばちゃんの具体的イメージがあればよいと思います。


オカンにとってのビバリーヒルズ。

言葉のリズムはいいが、意味合い的にどうなのか…。


売る人の顔を知れば、食べ残しする子どもが減るかもしれない。

商店街の集客につながるかどうかはわかりませんが、着眼点はおもしろいと思います。




ここからは事例の中でも優秀作品。それらをランキング形式で紹介していきましょう。


【第10位】 うさんくさくて、あったかい。

広告で自ら「うさんくさい」と言ってしまうおもしろさがあります。

【第9位】 買い物で、脂肪が燃える。〜細川商店街を歩こう〜

買い物をダイエットの場にしようとしているのがおもしろいですね。

【第8位】 棚から買うより、人から買いたい。

よくありそうな着眼点ではありますが、言葉の使い方<対比>がうまいです。

【第7位】 ここ、いい選曲してるよね!

商店街には必ずBGMがありますが、そこに目をつけたのがよいのではないでしょうか。

【第6位】 全店シャッター開けてます。〜元気です、かもめ商店街〜

元気があるのがよくわかります。

【第5位】 今日もどこかで、閉店セールやっています。

「今日もどこかで」というのが、興味深くておもしろいですね。

【第4位】 ガイドブックにはないパワースポット。

胡散臭さもあるが、流行を捉えています。新しい価値を感じます。

【第3位】 値下げ交渉、実施中。

ショッピングモールにはない、商店街ならではの価値と言えるでしょう。

【第2位】 今日のごはん、一緒に考えます。

人の温かみを感じるコピーです。

【第1位】 そう、ここは昭和93年です。

キャッチーで、しかもうまく言い当てられています。 (※平成30年時点)

いかがでしたでしょうか、商店街に人を呼び込むためのコピー。もっといろんな切り口で、もっと深く、意味づくりをしていくことができそうです。