楽しくコピーを書くために

一晩中机に向かって格闘しても、出てこないときは出てきません。
毎日楽しくコピーを書くためにはどうすればいいのでしょうか。
禅問答のようですが、コピーを書こうとして、コピーを書かないことが大事です。
ウンウン唸って考えても、それが借り物の言葉なら意味がない。
だから自分の土俵で勝負することにします。

他人の気持ちは書けません。
だから書かない。
自分ごととして書く方が、言葉は誠実なものです。
膨大な資料の中から自分の引っかかるものを抽出して、それを突き詰める。
突き詰めれば、それはいつか普遍的な、みんなの言葉になります。
自分のわからないことは書かなくていいのです。
コピーを書こうとして、コピーを書かなくていいのです。

そういう意味で、ターゲットはあるけどない、のかもしれません。
ターゲットを気にしすぎると、予定調和になってしまいますから。
予定調和より、破綻してしまった方がいっそマシ。
自分の言葉で書く喜び、自分の考えで考える喜びをたっぷり味わいましょう。

広告は広告主のお金を使ってやるものです。
もちろんコピーライターとしての責任は果たさないといけませんが、肩に力が入るといいものはできません。
広告を私物化しちゃいましょう。
書きたい気持ちをムクムクとさせて、共感コピーより、共感したくなるコピーを見つけるのです。
書き手の自分と読み手の自分を同時に意識すること。
「わかってくれるだろう」と「伝わらないかもしれない」の間で、感度のバランスをはかります。

普通の言葉で、普通じゃないことを言う。
難しいかもしれないけど、それが本質のような気がします。
答えを出すのではなく、問題を問うことが、そのままコピーになります。
世界をつくろう。味をつくろう。それを楽しもう。
コピーは思いつきでいいんです。
もちろんクライアントはいるわけですが、コピーを人に選んでもらわないこと。
人のチョイスより、自分のチョイスです。
たくさん本を読むのもいいとは思います。
でも、それだけではコピーは上達しなくて、いいコピーは気の持ちようで書けるんです。

コピーライターに書く才能は必要ありません。
気づく才能はいりますけどね。
どうですか、少しは楽しくコピーが書けそうですか?